供養の多様化により、火葬したご遺骨を粉末状に加工する「粉骨」の需要が高まっています。海洋散骨や樹木葬、合祀墓への永代供養など、お墓を持たない供養方法を選ぶ上で必要となることが多く、ご遺骨を扱いやすい状態に整える重要な工程です。
今回は、粉骨を行う目的から費用相場、業者選びにおける注意点、粉骨後に選べる供養方法まで、初めての方にも分かりやすく解説します。
粉骨とは

粉骨とは、火葬されたご遺骨を手作業または専用の機械を使って細かい粉末状にすることを指します。粉末状にすることで、散骨や樹木葬、合祀墓など、さまざまな供養方法に適した状態に整えることができます。
加工にあたっては、ご遺骨の乾燥や異物の除去といった下処理が行われ、衛生的な状態で進められます。
粉骨はあくまでご遺骨の形状を整える工程であり、宗教的な儀式ではありません。しかし、その後の供養方法の幅が広がるため、多くのご遺族に選ばれています。
関連記事:粉骨の目的とは?利用できるサービスや注意点について
粉骨が必要となる理由とメリット

粉骨を行う理由は、供養方法のルールに合わせるためだけでなく、ご遺骨を扱いやすくするためでもあります。
▼粉骨するメリット
- ご遺骨の容量が大きく減る
- 散骨や樹木葬などができる状態になる
- 持ち運び・保管がしやすい
粉骨するとご遺骨の容量が大幅に減るため、墓じまい後の一時保管や自宅での手元供養でも場所をとりません。
また、散骨といった自然葬では、、ご遺骨を2mm以下にすることが必須です。粉骨しておくことで散骨や樹木葬などの供養をスムーズに行えます。
さらに、粉骨後は真空パックや水溶性袋、小さな容器にも収納しやすく、分骨や手元供養に適した扱いやすい状態になります。
粉骨の方法

ご遺骨を粉骨する方法は、大きく2つに分かれます。
1.専門業者に依頼する
粉骨は難しい作業のため、専門業者に依頼するのが一般的です。供養の際に粉骨が必要となる場合、その供養先から業者を紹介してもらえることもあります。
いずれにしても、慌てて業者を決めるのではなく、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討することが大切です。
2.自分で粉骨する

ハンマーや金槌でご遺骨を砕いたり、乳鉢を使ってすりつぶしたりすることで、業者に頼らずに自分で粉骨することも可能です。
しかし、ご遺骨をすべて粉骨する作業は、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。特に強いこだわりがなければ、専門業者に依頼することをおすすめします。
なお、以下の記事では「自分で粉骨する方法」や「粉骨機」について解説しています。
関連記事:
自分で粉骨する方法は? 手順から注意点まで解説
粉骨機とは? 作業工程や注意点について解説
粉骨の費用相場

粉骨を業者に依頼する際の費用相場は、骨壷の大きさや作業工程、オプションの有無によって異なります。
例えば、3寸程度の骨壷の場合、8,000~10,000円程度が相場です。刃物を使わない手作業での粉骨では、同じ骨壷サイズでも10,000~25,000円程度まで高くなります。
粉骨の料金や費用については、以下の記事の参考にしてみてください。
関連記事:粉骨の料金・費用はいくら? 世間的な相場について解説
粉骨で失敗しないための業者の選び方

粉骨を取り扱う業者はたくさんありますが、大切なご遺骨を預ける前に、以下の点に注意して粉骨業者を探しましょう。
1.個別対応はされているか
大切なご遺骨を安心して預けられるかを見極めることは、最も重要なポイントです。「ほかのご遺骨と混ざらないか」という不安をなくすため、一体ずつ個別に粉骨作業を行う「個別粉骨」を明記している業者を選びましょう。
また、粉骨の各工程を事前に説明してくれるか、作業への立ち合いが可能かといった点も、信頼性を判断する基準になります。
2.仕上がりの品質は十分か

供養方法に合う形で粉骨してくれるかも重要なポイントです。例えば、散骨を行う場合は、環境や周囲への配慮から2mm以下の粉末状にする必要があります。
また、手元供養で長期保管したい場合は、洗浄や乾燥が十分に行われるかという点も確認しましょう。水分が残っているとカビの発生原因となってしまいます。
丁寧な作業で仕上がりの品質が良いと、その後の供養を安心して行うことができます。
3.料金は明確か
提示されている基本料金に、どこまでのサービスが含まれているかを事前に確認しましょう。業者によっては、預かり時に汚れや水分が多いご遺骨の場合、洗浄や乾燥といった追加料金が発生することもあります。
後から予期せぬ費用を請求されるトラブルを避けるため、必ず事前に総額の見積もりを取り、追加料金の可能性について確認しておくことが大切です。
粉骨後の供養方法

粉骨を行ったあとの供養方法としては、以下のようなものが挙げられます。
散骨

海や山などに粉骨したご遺骨を撒いて供養することを「散骨」と呼びます。なかでも、海にご遺骨を撒く「海洋散骨」は近年人気が高まっている供養方法の一つです。海は山林のように所有者がいないため、比較的実施しやすい点が注目されています。
ただし、自治体の条例により散骨が禁止されている海洋エリアもあるため、事前にルールを確認した上で計画を立てることが大切です。
合祀墓での永代供養

寺院や霊園が運営する合祀墓では、粉骨したご遺骨を血縁者以外の方々と同じ場所に埋葬し、施設側が半永久的に管理と供養を行います。
通常のお墓のように個別の管理費が必要ないため、月々の負担がかからず、経済的な面でも安心できる供養方法です。
樹木葬

シンボルとなる大きな樹木の下に、粉骨したご遺骨を埋葬する方法です。
墓石の代わりに樹木を使用することで、自然に近い形で供養できる点が特徴です。
手元供養

ご遺骨を自宅などの手元に保管して供養する方法です。手元供養では、自宅の一角に設けた祭壇にご遺骨や遺影を飾ります。
必ずしも粉骨が必要ではありませんが、粉骨することでご遺骨の容量を大幅に減らし、コンパクトに保管できるというメリットがあります。
また、外出先でも故人様を身近に感じたい場合は、ペンダントやお守りにご遺骨を入れて持ち歩くことも可能です。
とこしえの粉骨サービス

「とこしえ」では、ご遺族のご希望に寄り添ったご遺骨サポートとして、粉骨サービスも取り扱っています。
安心してお任せいただけるよう、粉骨前後でご遺骨の状態を撮影し、作業内容が確認できる「粉骨証明書」を発行しています。また、粉骨後のご遺骨は水溶性の袋や真空パックに入れるなど、ご遺族の希望に合わせてお渡しいたします。
ご遺骨の粉骨をご検討中の方は、とこしえまでお気軽にお問い合わせください。





