後継者不足や維持管理の難しさが理由で「これまで守ってきた先祖代々のお墓を墓じまいしたい」と考えている方も多いです。
しかし、墓じまいをする際に、どのような手続きが必要になるのか、知らない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、墓じまいの流れや費用、事前に注意しておきたい点などについて詳しく解説します。
また、墓じまい後の供養方法として、永代供養を検討している方向けにメリットやデメリットも紹介します。
墓じまいの方法
墓じまいの方法は、以下のような流れが一般的です。
1:ご遺骨の確認
墓じまいをする前のお墓の中に、誰のご遺骨があって、どのような状態なのかを確認しておきます。
2:祭祀承継者と受け入れ先を決める
祭祀承継者とは、墓地の所有権やご遺骨に関する、民法上の決定権を持っている人物のことです。
言い換えると、一族のお墓を引き継いで管理する人のことで、相続人がなるケースがほとんどです。
基本的に祭祀承継者が親族間の意見をまとめる形で、墓じまい後のご遺骨の受け入れ先を決めます。
新たな受け入れ先が決まると、そのお墓の管理者から受入証明書や永代使用許可書などの書類が発行されます。
3:埋葬証明書を受け取りと、改装許可書の取得
現在の墓地管理者に墓じまいをする旨を伝えると埋葬許可証を受け取れます。
そして、現在の墓地がある自治体に、埋葬許可証と受入証明書を提出することで、改葬許可書が取得できます。
改葬許可書はご遺骨の数と同じ枚数が必要となり、きちんとそろっていないとご遺骨を取り出せません。
4:墓石の撤去と閉眼供養を行う
墓じまいは、墓石の撤去をして区画を更地に戻します。基本的には石材店に依頼するケースが多いです。また、ご遺骨を取り出す際は、僧侶に立ち会ってもらい閉眼供養を行います。
閉眼供養を終えて、更地にした区画を管理者に返還したら、墓じまいは終了です。この後はご遺骨の受け入れ先や供養方法によって異なります。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用は、墓石の撤去費用と閉眼供養の際に僧侶に渡すお布施がメインです。
墓石の撤去費用には、1平方メートル当たり5~10万円が相場といわれていることから、一般的な広さのお墓の場合、およそ30~40万円が必要です。
また、僧侶に渡すお布施の相場は2~5万円で、この2つの合計が墓じまいにかかる費用です。
永代供養のメリット・デメリット
墓じまい後の供養方法の一つである永代供養には、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
ご遺骨の維持管理を半永久的に任せられる
通常のお墓の場合、子孫や後継者が維持管理をしなければなりませんが、永代供養だと運営する霊園や寺院に半永久的に任せられます。
費用を軽減できる
お墓の購入費や管理維持費などが一切かからないため、葬儀にまつわる費用を大幅に軽減できます。
デメリット
一度埋葬すると、ご遺骨を取り出せない
大勢の人とご遺骨を同じ場所に埋葬する合祀型の永代供養の場合、一度埋葬すると、再びご遺骨を取り出すことができません。
お墓の増設ができない
永代供養では、一人ずつ契約をするため、通常のお墓のようにほかの身内のご遺骨を追加で納骨することができません。
また、普段のお墓参りの仕方も、永代供養を依頼している霊園や寺院の規則が最優先となるため、自由にお花を飾ったり、お供物を用意したりするのは難しいです。
墓じまいをする前に事前にしておきたいこと
一度墓じまいをすると、元の状態に戻すのは非常に大変です。そのため、事前に親戚同士でじっくりと話し合い、墓じまいをすることに全員が納得をしてから行動に移すことが大切です。
自分の意思だけで墓じまいを進めてしまうと、トラブルを招く恐れがあるため、注意しましょう。