さまざまな家庭の事情によりご遺骨を粉骨しなければならなくなった際、「どのように粉骨をすればいいのか困っている」「粉骨機を使用して粉骨したい」という方もいるのではないでしょうか。
粉骨機は、粉骨を行うために必要な機械・道具です。これからご自身で粉骨をされるのであれば、その知識も深めておく必要があります。
ここでは、粉骨機が持つ役割と作業工程について解説します。
粉骨機とは
粉骨機とは、ご遺骨を細かく砕いて粉末状にする機械です。粉骨機には、石や乾燥野菜、生薬などを粉末にできる粉砕機も含まれます。一部の粉骨機はサイズも小さく、個人でレンタルが可能です。
また、粉骨専用の大型機器も存在します。こちらは専門の粉骨業者が利用する機械で、ご遺骨の粉骨作業に特化しています。そのため、「個人で粉骨をするのに抵抗がある」「自分で粉骨するのは難しそう」という方は、専門業者に依頼するのがおすすめです。
自分で粉骨機を使うことはできる?
粉骨機を使っての粉骨は「専門業者でないとできないのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、自分で粉骨機を使ってご遺骨を粉状に加工できます。
自費で購入可能
粉骨機を自分で購入し、粉骨することは可能です。しかし、使用頻度が低いため、自分で購入するケースは少ないです。
数万円から数十万円の価格帯で販売されており、価格差も大きいため、製品を購入するのかどうかは十分に検討する必要があります。
専門業者に依頼するのがおすすめ
自分でご遺骨を粉砕する場合、手間も時間もかかります。加えて、完全な粉末にするのは難しく、ムラになってしまう可能性があります。
また、家族のご遺骨を粉骨する作業は精神的な負担が大きいため、専門業者に依頼するのがおすすめです。
粉骨の作業工程
ここでは、専門業者に依頼した場合の作業工程を解説します。
また、ここでの解説はあくまで一例です。ご自身で粉骨を行う際は、工程で説明している作業が行えない場合がありますのでご注意ください。
1.ご遺骨を乾燥させる
ご遺骨には墓地や霊園での保存中に湿気が含まれる可能性があり、そのまま粉骨してしまうとカビが発生する恐れがあります。そのため、お墓に納められていたご遺骨はまず乾燥を行います。
ご遺骨を丁寧に取り扱い、徹底的な乾燥作業を行うことで、後の工程がよりスムーズかつ適切に進行します。
2.手作業で混入物を除去する
ご遺骨が完全に乾燥したら付着物や異物の確認を行います。ご遺骨をバットの上に広げ、ご遺骨に関係のないネジや装飾品、医療器具類などは取り除きます。
粉骨機ではご遺骨の混入部を取り除くことができません。まずは手作業で混入物を除去します。
3.乳鉢で大まかな粉骨
粉骨機でご遺骨を粉骨する前に、専用の乳鉢でご遺骨をある程度小さくします。熟練した技術を持ったスタッフが、慎重かつ緻密に手作業で進めます。大まかな粉骨を行うことで、その後の粉骨機での作業がしやすく、より細かい粉骨が可能です。
4.粉骨機で粉骨する
ご遺骨を粉骨機に入れ、2mm以下のきめ細かなパウダー状に粉骨を行います。粉骨にはガイドラインが設けられており、1片の直径が2mm以下になるまでご遺骨を砕くというのが決まりです。
均一で微細なパウダーに仕上げることで、供養の儀式や保存の際に適した形態に整えられます。
5.パッケージに入れる
粉骨したご遺骨を家族の希望や信仰、文化的な慣習を尊重し、個々の要望に応じた供養方法に合わせてパッケージングします。
このように、手作業と機械を組み合わせて粉骨を行うのが一般的です。なかには、粉骨作業の立ち会いができる場合もあります。
粉骨によって広がる供養の可能性
ご遺骨を粉骨することで供養の幅が広がります。ここでは、粉骨後の供養方法について紹介します。
散骨
散骨は、粉骨したご遺骨を海や山などに撒いて供養する方法です。
「死後は自然に還りたい」と願う方に選ばれています。また、墓地の購入費や維持費がかからないため、遺された家族の負担を減らすことができる点もメリットの一つです。
手元供養(装飾品・アクセサリー)
手元供養は、「常に故人を身近に感じたい」「手元で供養したい」とお考えの方におすすめの供養方法です。
手元供養品には、ご遺骨をカプセルに入れて身につけるペンダントや、自宅に置きやすいミニ骨壷などがあります。ミニ仏壇は自分だけの供養空間を作ることができ、一人ひとりに合った形で供養できるのが特徴です。
納骨堂
納骨堂は、ご遺骨を安置する施設で、寺院や霊園内に設けられています。スペースが限られているため、粉骨を行い、ご遺骨の容量を小さくして納骨する場合が多いです。
納骨堂には好きなタイミングで訪れることができ、家族や友人と共に故人を追悼する場が欲しい方におすすめです。
分骨
分骨とは、亡くなった方のご遺骨を数か所に分けて保管や埋葬、供養する方法です。
「実家が遠方でお墓参りが難しいため、別のお墓を建てて供養したい」「兄弟・姉妹で分骨したい」「菩提寺と住まいが離れている」など、分骨の理由はさまざまです。ライフスタイルの変化によってお墓を持つことが当たり前ではない時代も到来しています。
これから先、お墓を持たない選択肢をされるようでしたら、新しい供養方法を視野に入れておきましょう。きめ細かなパウダー状に粉骨をすることで、さまざまな供養方法の選択が可能です。
粉骨時に注意すること
ここでは、粉骨時に注意すべきことや粉骨前に確認しておきたいことを紹介します。
ご遺骨が乾燥しているか確認する
自分で粉骨する際に一番注意したいのは、ご遺骨が乾燥しているか確認することです。
ご遺骨は水分を含みやすく、すぐに湿り気を帯びてしまうことがあります。湿気ってしまうとカビが発生することがあるので、十分に気をつけなければなりません。
そのため、もし自分で粉骨を行うのであれば粉骨前には完全にご遺骨を乾燥させてから粉骨作業に移るようにしましょう。粉骨後も湿気を帯びないように乾燥した場所で保管するようにします。
ご遺骨は元の状態に戻せないことを理解する
一度砕いたご遺骨は元に戻せないため注意が必要です。あとから後悔しないように、粉骨に関してしっかりと理解してから行うようにしましょう。
また、身内に相談をせずにご遺骨を粉砕してしまうとトラブルになることもあります。自分だけで決めずに、ご家族やご親戚に相談してから粉骨を行うことが大切です。
心理的負担を感じることがある
粉骨は、大切な家族のご遺骨を粉砕する作業です。自分で粉骨を行おうとすると精神的な負担を感じる可能性があります。
そのため、やはり専門業者に依頼するのが安心です。粉骨する過程でご遺骨をこぼすといったトラブルが起こるリスクも低くなります。
災害で紛失するリスクがある
粉骨をして自宅で供養する場合、火災や地震などの災害でご遺骨が紛失する可能性があります。
供養の選択肢が広がる点が大きなメリットですが、このようなリスクがあることも理解したうえで供養方法を検討する必要があります。
とこしえの粉骨サービス
粉骨は自分で行うには大変な作業です。体力仕事であるだけでなく、精神的にも楽な作業ではありません。
自分で粉骨作業をすることに抵抗がある方は、粉骨代理業者に依頼することをおすすめします。粉骨代理業者であれば専門的な知識や技術を持ち、慎重かつ故人への敬意を持った対応をしてくれるため安心です。
とこしえでは、お客様の要望にそえるように真心を込めて粉骨作業を行っています。粉骨の際には、故人へ黙とうを捧げたり、粉骨証明書を発行したりするなど、ご遺族の皆様に安心していただけるようなサポートも欠かしません。
粉骨後はご遺族が取り扱いしやすいように、ご遺骨を水溶性の袋や真空パックに入れて適切な形に整えてお渡しします。粉骨のことでお悩みの方は、ぜひとこしえまでお気軽にご相談ください。